おやすみなさい

旧nikki desu

みんなにも、シンデレラオコジョを知ってほしい

 


シンデレラオコジョという鳥を知っていますか。

そう、鳥なのです。

丸くてフワフワしていて、黒いくちばしを持っています。たぶんイヌカレー空間の中にいるのがいちばん馴染むと思うのですけど、フワフワした丸い物体に、テカテカした黒い、孤を描いたようなくちばしが付いています。

見た目はあまり鳥に見えないのだけれど、ふい~っと空を飛んでいます。羽ばたいたりはしません。浮いているように飛んでいます。かなりの低空飛行です。

わたしもまた、その低空飛行中にシンデレラオコジョに捕まったのでした。

軌道線上に獲物(わたし)を捕らえると、シンデレラオコジョは途端にスピードアップし、わたしの脇腹を的確に捉えました。わたしは強烈な痛みを脇腹に感じ、見ると、シンデレラオコジョのくちばしが、見事に脇腹に刺さっていました。深く深く刺さっていました。

シンデレラオコジョの黒いくちばしは鋼のように頑強で、それは、一度刺さると二度と抜けないと言われています。たしかにこれは抜けない。抉られながら、わたしは思いました。

飛んでいると気付かないのですが、くちばしをわたしの脇腹に埋め込み、シンデレラオコジョ自身も動くことのできない現在、そのくちばしのしたに醜く裂けた口があることが分かりました。

そう、くちばしは上半分しかなく、下のくちばしはなく、代わりにニタァといやらしく大きく裂けた口がのぞいていました。ギザギザの鋭い歯が、赤黒い歯茎に刺さるようにして生えています。

痛い。痛い痛い。

どうにもすることができず、悶えていると、大学に入って一番最初に友達になった友人、「この子と一緒にいたら楽しい四年間が送れそう」と思った友人、いつもホワンワとしていて高音でやわらかくしゃべり、性格の捻くれまくったわたしでさえ「まちがいない、このこは良い子や……」と思っている石川県出身の友人がナイフを手にやってきました。

友人は、わたしの脇腹に突き刺さっているシンデレラオコジョの口の端にナイフを差し込み、ずば、と見事にシンデレラオコジョをまっぷたつにしました。

赤黒い肉や白い脂肪が見えて、生々しかった。白いフワフワのなかにこんなものが、とわたしは思いました。そう思っているうちに、くちばしはスッと抜けて、脇腹の痛みは静かに消えてゆきました。

 

 

 

こんな、夢を見ました。

シンデレラオコジョという名前、絶対忘れると思って、起きてすぐにメモ帳に書いておきました。案の定忘れていた。

シンデレラオコジョのシンデレラは「シンデレラサイズ」の「シンデレラ」で、つまり、たぶん、ちいさい、ってことなのだと思います。たしかにちいさかった。手のひらサイズだった。一見かわいいので、脇腹を刺されていると気付いたときはとてもショックでした。

はて、オコジョってどんなだっけ、と思って検索してみて、そのかわいさに恐れおののきました。オコジョ、超かわいい。つぶらな瞳。白い毛。

シンデレラオコジョには目はなかったけれど、確かに白い毛(羽?)をしていました。毛(羽?)がオコジョと同じもので、そこからシンデレラオコジョと名付けられたのかもしれません。

 

ちなみに、シンデレラオコジョは自らの力でくちばしを抜くことができないので、一度くちばしが突き刺さったところからは動くことができず、ほとんどの場合そのまま餓死してしまうのだそうです。

 みんなにも、もっとシンデレラオコジョのことを知ってほしいです。わたしもよく知らないのだけど。

妹にこの話をしたら「起きてから考えたの?」「オコジョって言いたかったの?」と言われて心底腹が立ったので、みんなにも、シンデレラオコジョという鳥がいるということを知ってほしくて、書きました。

シンデレラオコジョはわたしの妄想ではありません。夢の中にすむ生き物です。



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これはノーマルのオコジョです。