おやすみなさい

旧nikki desu

たのしい連休

妹が予定がないと言うので、先の連休は妹と過ごした。

土曜は夜まで外出していて、妹は夕方まで買い物をして先に来るというので合鍵で家に入っていてもらった。自分がいない部屋に人を入れるのは初めてだった。

その日は慣れないことをして非常につかれていたのだけど、帰って妹がいると思うと自然と足が軽くなる。コンビニで夜ご飯を買って帰った。のだけど、ここでわたしがすなおに鍵でオートロックを解除して入ればよかったのだ。

なぜだかわたしは、外からやってきた人間のようにマンション入り口のインターホンから部屋番号を呼び出して「あけて」と言った。もちろんちくいち連絡しているので、妹もこれがわたしだということ、わたしがもうすぐ帰って来るということはわかっている。

「どのボタン?」妹が言う。たしかにこのマンションのロック解除ボタン、ちょっとわかりにくかったなあ、と思い出した。同じボタンがふたつ並んでいて、それでいて「ロック解除」みたいなわかりやすい表記ではないので、はじめのころ、これ、ほんとにこれなの? とわたしも何度も逡巡した。それを思い出し、わたしは親切心で、「上のボタン」と言った。

妹は「一番上のボタン?」と言った。「2個しかないんだけど一番上って表現おかしいな、まあ上ではあるな」と思い、わたしは「たぶん」と答えた。
「非常に強く押す?」そう、たしかにこのボタン、なぜだかめっちゃ硬くて、ぐいっと押し込まなければいけないんだった。

「そう」

そう答えた瞬間、びー、びー、と大きな音が鳴り響いた。瞬間的にわたしは「アッこいつこれちがうボタン押したな」と察した。そういえばなんか一番上に非常ボタンあったかも。いやでもふつう非常ボタン押すか? ふつうに。

わたしもさすがにテンパる。夜12時前だし。もちろん止まる気配ないし。妹の携帯に電話して、自分の鍵でロックを解除してエレベーターを上がり、自分の階に辿り着くと、さらにけたたましい音が鳴り響いていた。急いで部屋の鍵を開け入る。妹がテンパっている。いや、わかるけどな。わかるけどや。

取り急ぎ妹を宥め、部屋の外、ドアの前に立ち音を発している部分をハンカチで押さえながら管理会社に電話して助けを求めた。電話取ってくれてほんとによかった、取ってくれなかったらこれどうなってたの、一晩中この音止まらなかったの? 無理でしょ、ほんと感謝しかない。

こんな時間にこんな音鳴らしてるんだから、人が飛び出してきてもおかしくない、そのときはわたしがきちんと説明して謝らなければ、と覚悟を決めて管理会社の人を待った。

幸い15分後くらいに管理会社の方が来てくれ、その間住人は誰も表に出てこなかった。えっ逆にほんとに非常の場合どうすればいいんですかね。

警告音は、ボタンをがっとひき戻したらすぐに収まった。取り急ぎ、とりあえず電話で一言言ってほしかったな。はやく来てくれてめっちゃありがたかったけど。

そういえばさっきから妹の姿が見えないので、寝室の戸をひいてみると、真っ暗な部屋の中で妹が泣いていた。こわ、え、ホラーでは……。

とんでもないことをしてしまったとビビったらしい。わたしは、もう怒る気力もないし、怒ってもどうにもならないし、ていうかふつう非常ボタン押すか? と思って笑ってしまった。そのボタン、「非常に強く押すボタン」じゃなくて「非常時に強く押すボタン」やからな。オレンジ色だしだいたい分からんかな。笑ってしまう。どんだけ強く押したの。

その上あれだけけたたましい音がなっていながら、わたしが直接電話するまでは「ロック解除するとこんな音鳴るんだ〜」と思っていたらしい。いや、のんきか。へいわだな。

ことの異変に気付いた瞬間「帰りたい」と思ったらしいが、わたしは「わたしだって帰りたいがわたしの帰る場所はここなんじゃ」という気合いで乗り切った。すべて終わって疲労困憊だったが、半目になりながら妹がおみやげに買ってきてくれた「たのしいおまつりやさん」を作って、まずいまずいと言いながら食べ、さいきん買ったiPad proとApple Pencilでへたくそならくがきをし、シャワーを浴びて3時ごろ寝た。一応言っとくけど妹はもちろん5歳とかじゃなくて25歳です。へいわだ。

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