おやすみなさい

旧nikki desu

つよくなりたい

日曜日。天気がよいので洗濯をしようとしたら、漂白剤を切らしていた。
漂白剤を買うために服を着替え、からだじゅうに日焼け止めを塗って出かける。日差しがきつい。夏だな。
薬局はいつも涼しい。
薬局でいつもの漂白剤を買って外にでる。そういえばこのへんにユニクロがあるのだった。入ったことないなあと思い立ちなんとなく入ってみると、日曜日のユニクロは家族連れでいっぱいだった。
ひととおりぐるっと回って、欲しいものはなかったが、せっかく来たのだからとインナーを一枚手に取った。


27にもなって、いまだに生活というものがわからない。
いや、わかる、皆そんなに生活というものがなにかなんてわかっちゃいないということは。それでもなぜ、なぜわたしはこうも「生活がわからない」などと考えているのか。ほんとうにしょっちゅう、「わからない」と思う。生活がわからない。


800円のインナー一枚持って、レジに並ぶ。
あきらかにフランスっぽい印象の方のレジに案内され、会計をしてもらう。
日本語がすごく流暢で感心してしまう。そしてめちゃくちゃにていねい。
見た目はめちゃくちゃフランス人(印象)でもそりゃ生まれてこのかた日本語しか喋ったことない人もいるだろうし、見た目じゃわからないのは百も承知なのだけど、イントネーションの具合からどうもそういうわけでもなさそう、それにしてもずいぶんと長い時間を日本で過ごしているのだろうな、と思う話しぶりだった。
ふと名札を見ると日本人の名字が刻まれている。勝手に、日本人と結婚したのかな、と結論づける。
生活してんだな、とおもう。国道沿いのユニクロ、日曜まっ昼間のユニクロ、この空間にいるすべてのひとが生活を営んでいる。もちろんわたしも。
それなのになぜこんなにも「わからない」のか。わからないなどと考えるのか?
衣食住、そのすべてがしっくりとこない。何着てもコスプレだし、食事はエサだし、家は仮住まいに過ぎない。
すべて信用ならない。服は布を合わせたに過ぎないし食べ物はかつて生きていた他者だし家と外の境目はドア一枚しかない。
ひとがそれをどうしてそんなにも信頼できているのかが分からない。


つよくなりたいな、とちかごろ思う。
これはずっと思っていたことで、でもきちんと認識できていなかったように思う。
それは、心をつよく、という意味でなく、ましてやほんとうのつよさ、とかでもなく、単純に、物質として、刃物としてよく切れるもの、鈍器としてより重く、より痛く殺せるものでありたいと思う。
そうすればわたしはその本質をしっかりと隠して、いつでもお前を殺す、と思いながらニコニコ笑顔で本当の意味でひとにやさしく生活できる気がする。
強度がたりない。練度がたりない。もっとつよくなりたい。