おやすみなさい

旧nikki desu

de

 

おふろに入っている最中、石鹸があまりに白くてつるつるでおいしそうだったから、これはきっとミルクの味がするのだ、と思った。いや、思った、というよりは、思うだろうな、と思った。こんなに白くてつるつるしているのだろうから、これはミルクのあま~い味がするのだ、と思うものなのだろうな、と思った。

牛乳石鹸、という名前の石鹸なのだとも知っていた。知っていたけれど、これまでの経験からしても、一般的に見ても、石鹸はあのニガい味がするもの、という認識はあった。認識はあったけれど、しかし、あまりに白くてつるつるしていてカワイイものだから、もしかすると、ミルクの味が、なんてことはないと分かっていた。

分かっていたけれど、分かっていたのに、我慢できなかった。確かめたかった。我慢できないことを我慢する必要がない、とわたしは判断した。だって石鹸舐めてニガくても別に誰にも迷惑かけないし。勝手にバカなことやってバカになってるだけだし。それにもしかするとそういう類の研究がなされて甘くなっているかもしれないし。まあ甘くないだろうけど。

そんなこんなで石鹸をべろっと舐めた。やっぱりニガかった。舌をビリビリさせながら、ニガいな、で納得した。シャワーを舌にたくさん当てた。

それから石鹸は舐めていないしいくら白くてつるつるでも舐めたいとは特に思わない。これもあのとき石鹸を舐めたおかげだと思う。

 

同じように、コンセントの穴が気になったことがある。穴が開いているのだから、プラグだけでなくもっといろいろ突っ込みたい。わたしはピンセットを持っていた。あれ、これちょうど二股になってる。しかも、ピンセットというものは、親指と人差し指でつまむことによってコンセントの穴のサイズに合わせて二股のサイズを変えられる便利設計。刺し込むしかない。

これは、もしかすると迷惑がかかるかもしれない、と思った。思ったけれど、石鹸のときよりずいぶんと子供だったので、我慢できなかった。

生まれてはじめてわたしが火花を起こした日だった。

あれから何度もドライヤー関連で火花を起こしているけれど、あんなに「これダメ!」ってかんじの火花を起こしたことはあれきりない。

おかげで、今ではコンセントの穴を見てもなんとも思わない。いや、コンセントの穴だな、って思う。なんとも思わないは嘘だった。コンセントの穴だな、って思う。おわり。



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