炎
ベッドから出られないために、ベッドのなかでパソコンをいじっているけれど、ベッドのふかふかの上にパソコンを置いているとすぐに熱が籠る。本当は壁に背をつけて座り、布団に横から入り、その上にパソコンを置きたいのだけれど、羽毛布団とノートパソコンの相性は最悪のようで、なんていうのか空気穴みたいなところをかんぜんに塞いでしまう。なのでベッド直置きに甘んじている。
ちょっと隙間を作るために、枕元にある積読書籍のなかで都合のいい高さであるニューロマンサーの文庫本と女の子を殺さないためにをパソコンの下に敷いてみた。これでいいのかはよく分からないけれどファンの音は小さくなった気がする。
昨晩から喉が死ぬほど痛く、生きているだけで苦行状態だった。朝起きて体温を測ると39.8度、あれ、おかしいね。何度も図りなおしたけれどさがらない。
これはやはりインフルなんでは、と昨日の疑いが頭をもたげる。邪悪なきもちになってきた。病院に電話して確認すると、それやっぱインフルだと思うから一回病院来てください、インフルって発熱してから一日経たないと検査に出ないことあるから、とのことだった。
おい。
静かめに書いたけれど、ワンピースのつっこみばりに叫びたい気分だった。それ、素人情報だけれど知ってる。だから、大丈夫かね? 昨日の晩から熱が出たんですけどって時間の情報入れたけれど大丈夫かね? と思っていた。でもお医者さまは一切そんな可能性のことは口にしなかったので、何か確証があってそうしているのだろうと思った。死ぬるほど痛い喉も一応ぺろっとだけ見てくれたし、見て、喉はきれいですねーって言ってたからそこに原因はないのだろうと。
お察しの通りわたしは攻撃性が高く、後からふりかえるとドン引きするようなことをたまに口走ってしまう。今日も、病院に向かう車のなかで「その可能性まで説明するのが仕事じゃねえのかq井j;t:qebk@vr,「」」」などとつぶやいており、母には「こわいよ、やめてよ」と言われた。いまははんせいした。
医師「うーん」
わたし「喉がしぬほど痛いです」
医師、喉見る。
医師「うーん」
わたし「昨日の晩から喉がしぬほど痛いです」
医師、再び喉見る。
医師「あー、なるほど。扁桃腺炎かも」
わたし「たしかに喉痛いです」
医師「もー昨日家族がインフルって言ってたからインフルかと思っちゃったよ」
不安的中かよ。一応参考までに、って言ったのに! 言わなかったら言わなかったで怒るくせに! 喉痛いって昨日も言ったのに! お医者さま、嫌いだと人生で何十回目かに思った。
医者に来る人なんてのはもう医者にすがるしかなくて来ているわけだからその医者を信じられないとするとどうしたらいいんだ。お医者さまだって人間だから間違うこともあるよ☆ って言うけれどお医者さまだって人間だから機嫌を損ねると蔑ろにされるかもと思って言えない不安も多い。
オロナミンCみたいな点滴打って帰った。熱は一瞬だけ引いてまた戻ってきた。
とくに看護婦さんが、サバサバ系オカンみたいな看護婦さんで、昨日の時点では声大きいしなんか後回しにされて悲しいし客の前で他の客のこと話してるし苦手だなあと思っていたのだけれど(ちなみにわたしは上品系やさおかあさまがお好みです)、今日溶接工みたいな恰好いい装備をしていてちょっと好きになった。
あれしなきゃこれしなきゃと考えながら眠ったら悪夢を見た。三本立ての短編悪夢集だった。