夏が終わる・感慨
夏が終わる。
先週末から今週のはじめまで学生時代の友人が泊まりに来ていた。べつになにするでもないんだけれど夜になれば飲みに出た。最近遊んでる男の子の話とかあのこがカワイイとか元彼がどうしてるとかどうでもいい話をして家に帰って眠る。
3日目の朝、目が覚めて、ひとことふたこと喋ってまた眠り、ふと目が覚めては起きなきゃ起きなきゃと言って眠り、何度かそんなことをくりかえして昼を回ってからやっと体を起こす。ラーメン食べて岩盤浴行こう、と言われてその通りにする。わたしはひとりでは絶対にこういう行動の選択はない。
すっぴんのまま、ワンピース一枚だけ着て彼女が学生時代バイトしていたラーメン屋さんに行った。当然のように車を運転してくれる。そのこと同じ、ラーメンの並に煮卵をトッピングを選んだ。ここのラーメンはお酢とにんにく入れて食べるとおいしいんだよと教えてくれる。ねえ、お昼からすっぴんでにんにく入れたラーメン食べるってやばいね。26歳の彼氏のいない2人。
ラーメンを食べ終えて、近所のパーキングに停めていた車に乗り込むとき、車の向こう側の彼女がちらと見え、あ、夏が終わる、と思った。むかしむかしの夏休みの終わりのほうの気配がした。
そのまま伏見まで行ってスーパー銭湯。ああここかあ、ここなんかよく通ったな。銭湯とか温泉とかのお風呂のにおいってなんか好きだな。いや好きじゃないのかもしれない、けどなんだか思うところがある。コインランドリーのにおいも似ているのかな。湯気のにおいなのかせっけんのにおいなのかなんなのか。不潔なのか清潔なのかわかんないにおいなんだよな。
彼女とはたくさん旅行した。グアムも二度行った。わたしは決して自分からは外に出ない。けれども学生時代は何度も旅行した。
なんども裸見てるけど何回でもちょっと照れるよね。でも照れるのももうはずかしい。だからなんでもない顔をする。大学生のころ、あんな話こんな話聞いたなって、裸になった瞬間なぜか思い出した。おっぱい見たからかな。
前日の夜、居酒屋で安い酒を飲みながら、今年27だから大学入学からでもう8年の付き合いになるんだよ、なんかこわいねって話をした。こわいだろ。10年っていう時間がひと呼吸で済んでしまう。
3時間くらい岩盤浴出たり入ったりして、温泉入って、外に出たら5時くらいになっていた。まだ5時だけれど、どっと疲れていた。この瞬間眠ったら確実によい夢が見れてしまう。海の帰りみたいだ。
たらたら喋りながら家に帰って、わたしはそのままベッドに突っ伏して眠った。彼女は化粧をして髪を巻いて着替えて飲みに出た。雨の気配がすさまじく、これ、雨降るんじゃない、傘持ってきなよ、とわたしは言ったが、彼女は、降らない、いらない、と譲らない。
目がさめると案の定雨が降っていた。22時ごろだったかと思う。冷蔵庫から酒を出して飲み始める。体が重い。
終電で彼女が帰ってきたので、傘を持って駅まで迎えに行った。いいって言ったのに! という彼女を無視して、コンビニでつまみと酒を買って帰った。
化粧を落としてシャワーを浴びて、もう今すぐ寝れるねって状態になり、そこからもういちど、酒を飲みなおす。三時間くらい飲んで、しずかに眠った。何を話したのか、ちっとも覚えてやしない。
翌日、彼女は地元へ帰っていった。明日からまた仕事なのだという。大学を出てから短大に行き、それから地元で勤めると聞いたとき、え、就職すんの?! と誰もがおどろいた彼女は2年経ってもりっぱに仕事をしている。休みのたびにあちこち行って、学生のころと変わらないくらい遊んでいる。今回だってこっちへくる前日まで韓国にいたようだ。すごいね、ってわたしは言う。彼女は、私達真逆だね、と言った。
彼女が帰ったその日、わたしはそれから1日眠って、その翌日もまた1日眠って、その翌日の夜になって、ようやく外に出た。外は思ったより暑くなく、一週間ぶりに部屋のクーラーを消した。夏がどっかへ行ってしまった。わたしが知ってる夏ってもっと暑かった気がする。毎年夏になると、夏ってこんなんだっけ、あれ、と思う。いろいろと。今年ももう夏が終わる、たぶん。実際に、もう21日なのだし。家賃振り込んで、保険振り込んで、月末の引き落としのために口座のお金がマイナスにならないように調整したら、もう9月だな。そしたらもう冬だ。クリスマスが来て正月がくる、たぶん。わたし来年はどうしているんだろう。来年になるころには27になっているんだけれど。
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