GWの子犬
ペットショップで子犬を見ていた
ゴールデンウィークの真っ只中、家族連れに囲まれながら子犬は跳ねたり鳴いたりしている
一匹の子犬が寝入る瞬間を見ていた
ベッドに寝転び目をうとうととさせ、徐々に眠りにおちてゆく
まばたきをするたびにまぶたが重くなってゆく
それを見てもう一匹子犬がやってきて、今にも眠りにつかんとしている子犬に寄っ掛かるようにしてひとつのベッドに収まるやいなや、こちらもまたうとうとと眠りにおちてゆく
閉じた目、少し湿った鼻、上がった口角、なんかぜんぶがかわいい
動物ってかわいいな 無条件に愛らしい 生きてるだけでいいんだな
で、そんときわたしは思った
わたしは自分に期待しすぎかなって
わたしも所詮動物なのだし、この子犬ちゃんみたく起きて眠ってごはん食べてを繰り返して死んでもべつにいいんだよな べつにいい
「わたしはしゃべる犬です」、くらいに自分のことを考えておいたほうがいい気がする
人間を高く見積もりすぎている?
わたしはもしかして、「人間に対する欲求が高い」「人間に対する要求が多い」「人間を美化しすぎている」のではないか
しかし同時に、「だが「人間」とはかくあるべきものだ」「それに至らない人間が人間足らずなだけだ」という意識もある
これはわたしのプライドだな
このプライドというものがやっかいなのだよな
プライドなんか意味の前にはくそくらえだ、と思うと同時に、意味などなくていい、プライドという信念以上に大切なものがこの世に存在するのか、とも強く思う
一番大切なものってひとそれぞれだと思うけれど、わたしにとってのそれはなんなのだろう
わたしにとって大切なもの
文章 文字 ことば 文章をかくこと うつくしいもの ぬいぐるみたち 水色の家 妹と過ごす時間 家族 おばあちゃんち 思い出 記憶
どれも大切だけれどたいしたことない気もするな
意味 意志 信念
くだらないよな
ねむっていたい あの夢と夢のあいだ さざなみのようなまどろみに飲み込まれるしゅんかんにずっと佇んでいたい
それはいい いい考えだ うん